本記事は2019/12/01に書かれたもので、2021/11/06現在では当時の結論が実態に合わないものとなっていますので、ご注意の上でお読みください。
現時点でのGPU選択の結論は、 FormWare3DでのRADEON系の優位性はFormWare3Dのバージョンアップ(確認したのは1.0.3.7)でなくなり、総合的に見てGEFORCE系のGPUメモリ8GB以上を選ぶことで問題ないというものです。
フィギュアを製作する際のPC環境の話です。
私は最近、本格的にPC環境でフィギュア製作を開始しましたが、環境を構築するにあたって、いろいろ機材を交換しながらやっと、自分の納得できる環境を作ることができました。その内容がほかの製作者さんにも参考になるのではないかと思い、記事にしました。参考程度にお読みください。
まず、私の使用しているソフトですが、ZBrush、3D-COAT、FormWare3D、Shade3Dとなっています。まあ、ほかにもソフトは使っていますが主なものはこの4つで、これが環境構築としての悩みどころの出発点です。これらはある書籍など読めば載っているソフトウェアですから、皆さんも多くの方が同じ環境なのではないかと思います。
私の作業シーケンスも説明しなければなりません。
私の場合、最初にZBrushで大体3000万~4000万ポリゴンでモデリングして部分的にはポリゴン数を減らしますが・・・そのまま3D-COATにすべてインポートします。その時のパーツ解像度は細かいディテールのパーツで32x、その他は16xです。これをエクスポート時にポリゴン数を85%のぎりぎりまで削減して出力し、それをFormWare3Dへインポートします。FormWare3Dの保存サイズはPhotonプリンタへの出力サイズいっぱいに並べて大体400MB程度です。これが下記PC環境の前提です。
ソフトごとにPCリソースの使用傾向を簡単に説明すると、ZBrushはご存じの通り、CPUをガンガン使うタイプでGPUなどこれっぽっちも使用しません。対して、3D-COAT、Shade3D はGPUメインのソフトです。FormWare3DはRADEON系搭載の場合だとGPUメインで動き、GEFORCE系搭載だとCPUとGPUを半々ぐらい使用する動きでちょっと変わっています。
ここでです。CPUはまあいいとして問題はGPUなのです。
3D-COATはCUDAの設定がツールメニューにあるぐらいですから、GPUの中でもNVIDIA、いわゆるGEFORCE向けなのは間違いないでしょう。実際にGEFORCEの方がfpsが出ます。具体的には、GEFORCE GTX1080Tiが37fpsのとき、RADEON RX480が17fps。RADEON VIIが29fpsぐらい。このときRX480でも3D-COATそのものは私感ですが使用に差支えがありません。(厳密にはGEFORCE系はCUDAのスムースブーストが出来たりと作業ははかどりますが・・・)
対して、FormWare3DはGEFORCE、QUADROのいわゆるNVIDIA系と相性がさっぱりありません。具体的にはサポート生成時のモデルの回転から遅いですし、スライスを開始して第一段階でのスライス処理も良いGPUを積んでいるにもかかわらず、遅いです。 <<< 2021/11/06訂正開始。最新のFormWare3D1.0.3.7ではGEFORCE系の場合にCPUに依存した処理に切り替わったようです。
ここからが本記事の本題です。
FormWare3DはRADEON系が速いのです。
私は昔からRADEON RX480を使っているのですが、この状態でFormWare3Dに限って言えば爆速で、全然不満がありません。CPUはその当時i7-7700Kでした。
ここからは、愚痴がこぼれるのですが、その後HPのワークステーションを購入し、標準で装着されていたQUADRO M2000の3D-COATの遅さに辟易してP4000に交換するもFormware3Dは変化がない。 CPUが遅いのでは?とE5-1620V4(4C8T3.5GHz)からE5-1660V4(8C16T3.2GHz)にするも変化がない。
ふと、元のPCのタスクマネージャーを見ると、RADEONの時だけGPUを活発に (パワー、メモリとも) 使用している様子。まさかとは思いましたが、HPのワークステーションにRADEON RX480を差したら爆速だったと。。。なんというオチ。なんという散財。。。みなさま、お気を付けください。2021/11/06訂正 終わり>>>
オチを付けたところで、2022/12/05現在の私のPC環境です。
1台目:自作PC
CPU:i9-13900K(24C32T5.8GHz)
メモリ:64GB
GPU:RADEON RX480(8GB)
2台目:HP Z840
CPU:E5-2687WV4×2個(24C48T3.0-3.5GHz)
メモリ:64GB
GPU:QUADRO M5000(8GB)
3台目:HP Z440
CPU:E5-2689V4(10C20T3.1-3.7GHz)
メモリ:128GB
GPU:QUADRO P6000(24GB)
ここからはZBrush(CPU)の話です。
なお、CPUについてですが、メインのモデリングはZBrushなわけで、おすすめを説明しますと最低でも8コア(i9-9900K)あった方がよく、できれば12コア(RYZEN3900Xなど)あった方がもっと良いです。最初はライトなものをモデリングするので、4コア(私の場合i7-7700K)でも使えましたが、じきにZBrushファイルサイズが1GBをゆうに超えるものを作り始めます。その時に限界を感じるでしょう。単純にはポリゴン数を減らしながら作業すればよいのですが、そのままにしておきたいことが多々あって(勉強不足)、4000万ポリゴンとかになってくるとi9-9900Kでも悲鳴を上げ始めます。まあ、その時に投資するのでもよいのですが、最初の時点で良いマザーボードを選んでおく必要はあります・・・。
最近、i9-13900k自作マシンを一式買いました。手元にあるZ840やZ440と比べてデシメーションマスター等、何でもが1.5倍のスピードで動きます。(ただし、購入金額は優に40万ほどしますが・・・)
その前にZ840中古を購入したのですがZ440とのスピードの違いは余りないのがガッカリで、メリットとしては多コアになった分、モデリング時のブラシのなめらかさが段違いに良くなるのとモデリング時の回転が若干なめらかなだけでそのほかのスピードは変わらず、掛けた金額にはほど遠いものでした。まあ、Z440のCPU:E5-2689V4が良い(フルコア3.7GHz駆動が可能)だけかもしれません。
3D-Coatの話をちょっとだけ
Z440からZ840へ3D-COATの環境を移したとき、1GBほどあるファイルを開くのに1分30秒だったのが3分経っても開かない現象に悩まされました。
いろいろ調べた結果、原因はCPUのコア数が多いほどGPUメモリにデータがロードされる時間が掛かることが分かって、3D-COATが使用できるコア数を絞ってから起動するとこれまで通りの時間でロード出来るようになったので、困っている方はお試し下さい。
メモリの話です!
メモリといっても、メインメモリとGPUメモリの2つがあります。順に説明します。
まずメインメモリですが、最後には64GB、出来れば128GBが必要になると考えて、メモリスロットの空きを最初から作っておきましょう。最初は16GBから始めても良いです。ただし1枚のメモリで16GBです。おそらくすぐに限界を感じて32GB、48GB、64GBと4枚買うことになります。
そしてGPUのメモリですが、これも最低8GBモデルを選びましょう。3D-COAT、FormWare3DもGPUメモリをバカ食いします。特にFormWare3Dはポリゴン削減をしないと消費がひどいです。
おそらく、FormWare3Dは1つのPCに複数立ち上げて待っている間に並行して作業をすることになります。これもメインメモリ、GPUメモリを圧迫することになります。(2021/11/06現在ではこれも気にならなくなっています。)
最後に!!
なお、ここに書いていることをすべて鵜呑みにしないでください。あくまでも、私が散財した失敗談として掲載していますです。
余談:んじゃあ、結局のところPCは何がいいの?2022/12/05更新
手元にゲーミングPCがあれば、それをまず使ってみてよいです。
無い場合は難しいのですが、30-40万出せる予算があればi9-13900k、7950xまたは5950xで自作マシンを組み立てれば、壊れるまで現役を続けられると思います。これらのCPUはしっかりとしたマザーボードから電源、CPUクーラーなど、各パーツに高品質なものを要求するので、自分で組むことは考えずショップのBTOパソコンから購入するのが確実でしょう。そうなるとこれぐらいの予算は必要です。
次に、出せる予算が10-20万までかなぁ。の場合はHPのZ440をお勧めします。(Z840は買ってみましたがコストパフォーマンスが悪いです・・・)
理由はタフなのと使っていてブルースクリーンにならない、落ちない、WindowsUpdate後に起動しないことがないなど、さすが企業向けワークステーションPCということで全幅の信頼が置けるからですね。
CPUとGPUだけは交換が必要になるでしょうが今の最新PC(i9-13900K)の2/3のスピードで確実に動くのであれば、候補に入れて問題ないのではないでしょうか。
まあ、通常のPCでも動きますがモデリングは高負荷が掛かるので、作業していて大丈夫か心配になると思います。心配な時、PCの排気に手をかざすとわりと熱い空気が出てきてませんか???
<<<2020/12/10追記
もし、安上がりな方法をお探しでしたら、ヤフオクでHPのZ440ワークステーションを探すと掘り出し物があるかもです。発端は最近、信頼あるPCが欲しくなりZ440を入手したのですが、手元にあったi9-9900Kと変わらない効率でZBrushが使えることがわかりました。
私が入手したスペックは、CPU:Xeon E5-1650V4 3.2GHz-4.0GHz 6C12T、メモリ32GB、ディスク500GB(SSD)だったのですが、6万円台で手に入ってます。
さすがに、モデリング時に全体を出しながら作業しているとカクツキますが、デシメーションマスターなど使うときにはi9-9900kが46秒の時、E5-1650V4は52秒で終わっていて、こういうところが早いなと感じてます。
まあ、私が入手したZ440は初期不良があって交換してもらったのですが、ヤフオクでもできれば保証のある出品者さんを探して入手した方が良いです。
導入後のメモリ増設もスロットが8つと多いため心配無用ですし、ヤフオクでレンタルアップサーバの放出でメモリを調達するとメモリ容量が大きくても安いです。
もちろん、GPUも専用の電源(6pin×2)が最初から用意してあって、よいものが選択できます。
それと、CPUの選択肢が広くかつ、安いのも魅力です。E5-1620V4の4コアから、E5-1680V4の8コア(これらは4.0GHzまで動作するものあり)、果てはE5-2699 V4の22コア(これは2.2-3.6GHzまで)まで、作業の内容で広範囲に選ぶことができます。(おすすめは、8コア~16コアで3.5GHzを超えるE5-1660V4,E5-2689V4あたり)なお、CPUの世代は第5世代、2016~年製となるので古いといえば古いです。
落札時の注意点は、HDD増設ベイにキャリアがついているものを選んだ方が良いというところでしょうか。(下の図参照)または、最初からHDDが2つ搭載されているものを選ぶと間違いなく、ついていると思います(少々お高くなります)。HDDが2つ搭載できるとRAIDが組めたりして(すぐに1作品1ファイル1GBを超える・・・これを1時間毎にバックアップしていくと数百GBなんてあっという間です)作品の貯蔵庫にしたり、また使い勝手が良くなります。

もう一つ書き忘れました。こういう流通在庫が多い(企業が買う)ものを買っておくと、故障したときの部品が比較的安く、入手しやすいのも魅力です。本体が破損しても、本体まるごと安く買えばSSDの換装だけで仕事が継続できるかも?しれません。
この話も参考になると幸いです。
2020/12/10追記終わり>>>